これまでの記事・全掲載


2009年10月の記事一覧

第1号

ネーミング批評(1) 「ポカリスエット」と「アクエリアス」
・・・コンセプトを捉えた語、捉えてない語
ネーミングの極意(1) 音相論はなぜ日本語から生まれたのか
ネーミングの極意(2) 表情が捉えにくい6種類のことば
コラム 文章、文、語とは何か

第2号

ネーミング批評(1) 高級時計「ドルチェ」と「エクサリーヌ」
・・・ターゲットの把握に微妙な違い
ネーミングの極意(1) 音相とは何か
ネーミングの極意(2) 音相の語源について
  音相システム研究所が行なっている事業
  ネーミングの分析・評価を行います
  「広告コンペに強い」企画書作り
・・・選に漏れたらコンサル料は無料です
  「コンサルタント」の実例
・・・行動科学に応用できる音相理論
  ストック商標の再チェックを!
・・・経費節減で見落とされているもの
  音相理論の集大成書
「日本語の音相」および「ネーミングの極意」
をお分けします。

2009年10月第1号

≪ネーミング批評(1)≫ 

「ポカリスエット」 と 「アクエリアス」
・・・コンセプトを捉えた語、捉えてない語

どちらもスポーツなどのときに飲む水分補給用ドリンクです。

この種飲料の名前には一般の清涼飲料とは違う、スポーティーな雰囲気と、栄養成分をイメージさせる音が入っていなければなりません。

これらのネーミングがそれをどこまで捉えているかを見てみようと、音相分析をしてみました。

画像をクリックすると拡大します
ポカリスエット、アクエリアス

「スポーティー」なムードを表すには、濃い青色または中濃の青で表現した次の表情語が高点に出ていなければなりません。

「シンプル感、明白さ」 (A項) 「躍動感、進歩的」(B項)
「新鮮さ、新奇さ」(C項) 「動的、活性的」(D項)
「爽やか、清らか」(N項) 「軽やかさ、軽快感」 (F項)
「若さ、溌剌さ」(G項) 「都会的、現代的」 (H項)
「開放的、明るさ」(I項) 「強さ、鋭さ」(L項)

また、いま1つのコンセプト「栄養成分」を表すには、複雑さを表す薄い青色の表情語

「暖かさ、安らぎ」 (P項) 「安定感、信頼感」 (Q項)
「高級感、充実感」 (R項) 「高尚さ、優雅さ」 (S項)
「静的、非活性的」 (T項)  

に高点が必要です。

(注)表情解析欄の棒グラフの色区分は、次のことを意味します。
濃い青 ・・・ 「活力感、若さ、シンプル感、現代感」など、明るさや活性感などプラス方向を向く表情語。
淡い青 ・・・ 「高級、優雅、落ち着き、安定感」など、複雑で非活性的なマイナス方向を向く表情語。
中間色 ・・・ プラス、マイナスのどちらにも機能する表情語。

両語の表情語を見てみると

ポカリスエット(大塚製薬)

表情解析欄の高点部分に単純明白なスポーティー感を表す濃い青色の表情語 (D項)、(J項) 、(M項)、(H項)、(A項)、(F項)が並び、ややトーンを下げて栄養性分を表す淡い青色の表情語 (P項)、(R項)、(S項)、(T項)、(Q項)が続きますが、両者が程よいバランスで混じりあうためスポーツドリンクらしい雰囲気が伝わっているのがわかります。

アクエリアス(日本コカコーラ)

この語は「成分的効用」をイメージさせる淡い青色の表情語(T項)、(P項)、(Q項)、(R項)、 (S項)を高点部分に立てていますが、スポーツの雰囲気を作る濃い青色の表情語(F項)、(B項)、(C項)のポイント数がきわめて低く、情緒的な飲料のイメージが強いため、コンセプトバリュー欄でも「中高年令者向き」の語と出ています。

この語にスポーティーな音の要素を加えていたら、格段に成果が上がっただろうことは言うまでもありません。

この語からスポーツのイメージが消えたのは、有声音と逆接拍の多用(注参照) が原因であったことを「有効音相基欄」が示しています。

 

(注) 有声音・・・ 声帯を振動させながら出す音。
  逆接拍・・・ 子音と母音がプラスとマイナスの反対方向を向く拍で、逆接拍と有声音が照応すると、高級、優雅なイメージを持つ語になります。

≪ネーミングの極意(1)≫ 

音相論はなぜ日本語から生まれたのか

相論は、語音の中に含まれる音相基を使って、ことばのイメージ(表情)を取出す技術ですが、このような研究は諸外国でもまだ行なわれておりません。

ことばからイメージを取り出すという発想が、なぜ日本語から生まれ、日本語で体系化が可能になったのか。

その理由として次のことが上げてられるように思います。

(1) 日本語が他言語の影響をほとんど受けていなかった
    こと。

漢字、ひらがな、カタカナ語が入り混っている現代語を見ると、日本語は外国語の影響を大きく受けているかのようにみえますが、仔細に見ると日本語は極めて純度の高い言語であることがわかるのです。

れはわが国が他民族による支配や強い干渉をうけなかったことと、先人たちの英知と努力によって、言語の基本となる文法や統辞構造(語の順序)や音韻などがほぼそのままの形で残されてきたからです。

例えば「Beautiful」という英語が入ってきた場合、この語を形容詞のままの形で受けることをせず、語末に形容動詞の活用「な、だ、で、に、なら」をつけて形容動詞の語幹として受け入れています。

すなわち、原語の形容詞「Beautiful」は、形容動詞の語幹、すなわち名詞的機能として受け入れてきたに過ぎないのです。

漢語の場合も同様で「精緻」(せいち)という語は語尾に形容動詞の活用「だろ、だっ、で、に、な、なら」をつけ、「精緻」は形容動詞の語幹(名詞)としてのみ受け入れてきたのです。

そのため日本語では外来語がいかに増えても、語彙(単語)が豊富になったプラスはあっても、それにより言語体系が乱されるようなことはなかったのです。

このような外国語の受け入れ姿勢は、音韻についても見られます。

「京」(チン)や「両」(リャン)という中国語の音は、やまとことばの音韻になじまなかったため、「チン(京)」は「キョー」(どちらも破裂音系)、「リャン(両)」は「リョウ」(どちらも流音)に、また「トゥオ、フィエ、ティア」は「ト、へ、チア」に、西欧語の「f(ファ)行音」はハ行音、「V(ヴァ)行音」はバ行音、「ti、tu」音は「チ、ツ」のように、原音と同系統の調音種に読み替えながら受け入れてきたのです。

(2) 日本語が開音節語であったこと。

「音相理論」の体系化が容易にできた次の理由として、日本語が「拍」の区切りが明白な開音節の言語だったことがあげられます。

開音節語とは拍(音節・・・Syllable)の終わりに母音をともなう言語のことで、日本語のほかイタリー語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ポリネシア語などがありますが、中でも日本語は完全形に近い開音節語だといわれています。

日本語は「あいうえお、かきくけこ、ざじずぜぞ、キャ、キュ、キョ、ニャ、ニュ、ニョ・・・」などの音の単位(音節または拍)でできています。

音節と拍は、音の数え方に違いによるもので、音節計算では長音(ー)と促音(「ッ」)は前の音に吸収されるため一音節とはならないが、「拍」計算だとこれらも音の1単位となります。例えば「北海道(ほ・っ・か・い・ど・ー)」は拍計算では6拍ですが、音節計算だと「ほ・か・い・ど」と4音節となるのです。

そのため、日常語のイメージを捉える音相論では「拍」計算法を用いています。

日本語は「拍」の区切りが明白なため、アイウエオなど五十音の1拍ごとの表情や、拍が単位で生れる「逆接拍、順接拍、無声化母音、濁音、促音、勁輝拍・・・」などの表情が容易に捉えられるのです。

(3) 日本語は拍の総数が手ごろな数であったこと。

音相論の体系化が日本語で割合容易にできた今1つの理由として、日本語の拍が適宜な数であったことがあげられます。

日本語の拍は五十音図にある音のほか、拗音、濁音、半濁音など合計138がすべてですが、子音で終わる音節が多い閉音節の言語(英語、ドイツ語、ロシア語など)には、音節の区切り方に一定の法則がありません。

英語の「strike」と言う単語を音節に分けるとき「s・tr・ike」と3音節に分ける人、「st・rike」(2音節)に分ける人、「str・ike」(2音節)に分ける人によってまちまちで、音節の数は学者により1,800、3,000以上、10,000以上などと人によって異なります。

だがしかし、ことばが作るイメージの種類は40種しかないため、音の単位(音節)が1,800以上にもなると同じ表情をもつ音節の数が増え、脳内でのイメージ識別が不明確なものになるのです。

その点日本語は、あらゆる音を138という、手ごろな数で纏められるため、「音相」の概念が理解しやすいし、音と表情の関係性も把握が容易になるのです。

≪ネーミングの極意(2)≫ 

表情が捉えにくい6種類のことば

表情解析欄の青色の棒グラフを見ても、その語全体の表情が捉えにくいことばに出合うことがよくあります。

表情の捉えにくいことばとして、次の6種類があるようです。

(1) 「曖昧さ」や「弱さ」を意味にもつ語

曖昧さや弱さを意味にもつ語は、当然ながら明白な表情を持たない語となります。そういう語として次の例があげられます。

(例) しとしと、あいまい、ほのぼの、まぼろし・・・

だがそういう語は、コンセプトを正しく表現しているから音相的に優れた語でもあるのです。

(2) 複雑な内容を持っている語

意味的に複雑な内容を持つ語とは、陽と陰、強と弱、静と動、活性と非活性など反対方向を向く要素を多く含んだ語ですから、当然表情語ではとらえにくい語になるのです。

(例) ギクシャク、そろそろ、おもろい、悪魔・・・

(3) 意味や字形が中心で作られた語

音に対する配慮をせず、意味や文字だけを考えたことばは、音相分析を行っても表情の捉えられない語が多いのです。

法律用語や学術用語などに多いですが、日常使う次のような語にも見られます。

(例) 告別式、鎮魂歌、露骨、病気、激突、悪魔、激辛、爆発、海峡、躍動、デッドロック、ボキャ貧、ブルドッグ・・・

また、政策的な意図などで作られた語も、これの一種といえましょう。市町村合併による新都市名や合併した会社名などに多くみられます。

(例) 大森区と蒲田区の合併でできた「大田区」、更級郡と埴科郡の合併でできた「更埴(こうしょく)市」、「三菱東京UFJ銀行」、「浜銀TT証券」・・・

(4) 決められた命名法で作られた語

(例) 動植物等の学名、宗教上の法名など・・・

(5) 数字や記号が中心で作られた語

(例) 一番町、二番町…、一丁目、二丁目…、一号館、二号館…、
A地区、B棟・・・

(6) 他援効果を意図して作られた語

他援効果とは、語の中の一部の音(拍)を強調するため、前後に反対の音価を持つ拍を多く配する手法をいいます。

(例) (強調する音の部分を「 」で示します)
どくだみ「茶」、オロナミン「C」、「ペプ」シコーラ、午後の紅「茶」、
リポビタン「D」・・・

≪コラム≫ 

文章、文、語とは

文章とは、思想や感情を文字に書いて表したもの。文は、文章を構成している意味のまとまり。語とは、文を構成する意味の最少単位(文法学でいう単語)をいいます。

2009年10月第2号

≪ネーミング批評(1)≫ 

高級時計「ドルチェ」と「エクセリーヌ」(セイコー社)
・・・ターゲットの把握に微妙な違い

人気の高いブランド名は、例外なく人の心を捉える音を持っています。

それは人々がネーミングの良否を直感するときのメジャー(尺度)ともなっているものですが、語音が伝えるイメージの研究はネーミングの分野でもまだ行なわれていません。

セイコー社のブランド名に「ドルチェ」と「エクセリーヌ」があります。

どちらからも高級腕時計らしいイメージの伝わってくる語ですが、その違い をさらに具体的にしてみようと音相分析を試みました。

画像をクリックすると拡大します
ドルチェ
(注) 青い棒グラフの読み方
濃い青 ・・・ 「活力感、若さ、シンプル感、現代感」など、明るさや活性感などプラス方向を向く表情語
淡い青 ・・・ 「高級、優雅、落ち着き、安定感」など、静的または非活性的なマイナス方向の表情語
中間色 ・・・ プラス、マイナスどちらにも機能する表情語を示します。

「ドルチェ」・・・

表情解析欄の上位に優雅、高尚の雰囲気を作る薄青色の棒グラフ「非活性的」、「高級感」、「信頼感」、「優雅さ」などが並び、続いてメカニックなイメージを表す濃青色の棒グラフ「合理的」、「明るさ」、「シンプル」、「動的」、「活性的」、「軽快感」、「強さ」が並びます。さらに情緒解析欄には「人肌のぬくもり感」、「あいまい感」、「クラシック感」、「神秘感」などが出ていてさらに気品と優美感をフォローしているのがわかります。

次に「エクセリーヌ」を見てみましょう。

画像をクリックすると拡大します
エクセリーヌ

「エクセリーヌ」・・・

メカニックなイメージを作る濃青色の表情語「シンプル」、「個性的」、「進歩的」、「若さ」、「都会的」、「庶民的」を高点に立てていますが「ドルチェ」で見たような情緒表現(薄青色の表情語)は下位の方にしかありません。そのため、情緒解析欄には「スピード感」があるだけで、この語が情緒性より高質間や機能性を訴えている語であることがわかります。

そのようなイメージの違いは、コンセプト・バリュー欄をみればさらに明らかとなります。「ドルチェ」が老若男女すべてを捕らえているのに対し、「エクセリーヌ」は男女とも若者指向の語と出ています。

どちらがよいネーミングか。それはそれぞれのブランドがどのようなコンセプトのもとで作られたかによって決まるのです。

≪ネーミングの極意(1)≫ 

音相とは何か
・・・それは日本人の誰もが持っている感性です

「桜」という語を辞書で引くと、「野山に自生し、春さき薄紅色の花を咲かせる落葉樹、日本の国花」と出ています。

これは概念を述べたもので一般に「意味」といわれているものですが、この語からは意味とは別に「爽やかさ、穏やかさ、あでやかさ、大らかさ」など、語がその周辺に持っている「イメージ」を伝える働きもしています。

「ハキハキ」ということばの音からはさっぱりと割り切ったイメージのようなものが伝わるし、ぐずぐずという音からは動きの鈍さのようなものが伝わります。「サ、シ、ス、セ、ソ」からは爽やかさが、「濁音」からは暗く重たいものが伝わるし、「真珠」からは透明感や気品が「豚」からは泥臭い野生の感じが伝わってきます。

意味はほとんど文字を中心に伝わるが、イメージは「音」によって伝わるので、音が伝えるイメージのことを「音相」と呼んでいます。

イメージは音によって伝わるため、意味が同じことばでも音が違えば違ったイメージが伝わります。

「青い海」という音からは、絵の具のチューブから搾ったままのコバルトブルーの原色の青がイメージされますが、「ブルーの海」からは、黄や緑などが複雑にまじった青の色が伝わります。

また、「ピンク」からは明るさや可憐さやモダンなイメージが伝わるし、同じ意味の「桃色」からは穏やかさや落ち着いたものが伝わります。そのため、赤ちゃんの頬を言うときは桃色よりも「ピンクの頬」という方がつややかな皮膚の様子がより実感的に伝わるのです。

「感覚」と「センス」も、前者からは確実さや信頼感が伝わるし、センスからは軽い響きが伝わります。そのため「センスがいい」ということばは、場合によってほめことばにならないこともあるのです。

私たちは、ことばが伝えるこのようなイメージの存在を認め合い、頷(うなづ)きあいながら話したり、文を書いたりしているのです。

このようなことばの音に対する感覚は、日本語を使う誰もが同じように感じているもので、日本語を使う人たちが先祖伝来受け継いできた遺伝子のようなものだといってもよいものです。

初対面の人と機微にわたる会話ができたり、誰かが使ったことばがメディアの力を借りてアッという間に流行語になって拡がるなども、人々の間に「音相」という感性の共有があるからだといえるのです。

≪ネーミングの極意(2)≫ 

音相の語源について

平安時代のはじめ、遣唐使として唐に渡っていた空海(弘法大使)が帰国をして真言宗(真言陀羅尼宗)を開きました。

真言宗は文字で表現できない深層の世界、実相の世界を説く教えといわれていますが、空海の著作に「声字実相義」(しょうじじっそうぎ、819年)というのがあります。

「声発して虚(むな)しからず、必らず物の名を表するを号して字という。名は必らず体を招く。これを実相と名づく…」

などことばと、事物がもつ実相とは合一のものとする「言事融即」(げんじゆうそく)の教えを説いたものです。

声字とは記号的な理解で使われていることばでなく、異次元の宇宙的存在エネルギーとしてのことばを指すもので、事物がもつ本然の相(すがた…実相)は、音声言語(話しことば)で代表される「声字」によって開示されると説いています。ことばが持つ真のすがた(相)は、語音によって表現されるという思いの中から「音相」の語は生れてきたのです。

また、色彩学に「色」の構成要素として「明度」(明るさ)、「彩度」(鮮やかさ)、「色相」(色のすがた、いろあい)があることも参考となりました。

音相システム研究所が行なっている事業

当研究所では、次の事業を行なっています。

1. ことばの科学が対照にしてこなかった「現用されていることば」(商品等のネーミングを含む)に含まれるイメージ(表情)を、客観的な根拠によって解析し、評価を行う種々のプロジェクト。
2. 詩、俳句、小説など文芸作品に含まれるキーワード(主要語彙、フレーズ)などの音相を分析し、作者の創作意図や心性などを解析するプロジェクト。
3. 学術用語、業界用語、俗語、外来語その他、あらゆることばが伝える「イメージ」に関する調査および論評、提案等のプロジェクト。
4. 企業等が保有している大量のストック商標や、懸賞募集などで集めた大量の未発表案から商品コンセプトにふさわしい語を、科学的根拠をもとに抽出するプロジェクト。
5. 姓名の音相を分析して基本性格等を解析するほか、新生児に期待したい性格を入力してコンセプトにかなった名前を推薦する等のプロジェクト。
6. その他、ことばが伝えるイメージに関する分析、論評およびコンサルティング。

ネーミングの「分析・評価」を行います。

本号、トップの「ネーミング批評」欄などで見られるように、音相理論を使ってことばのイメージを分析すると、個人の感覚や知識では到底捉えられないようなものまで取出しますが、当研究所では次のような分析評価をおこなっています。

(1) 個別評価 ・・・  ネーミングやネーミング案について、「ネーミング批評」欄にあるような細密分析と評価を行なうもの。
(2) ラフ評価 ・・・  その商品名で表現したいコンセプトをあらかじめコンピューターに入力し、それに大量案を入力して、個々の案のコンセプトの表現度を捉えたうえ、有望案のいくつかを前記の「個別評価」で細密分析して最優良案を推薦するもの。
音相分析と評価の料金表(消費税別)
(1) 個別評価(本評価)
  1語(1分析) 30,000円
(2) ラフ評価
(注) 「ラフ評価」は総語数20語以上で、本評価語数3語以上の場合に行ないます。
・ラフ分析料 50語まで 1語 2,000円
  100語まで 1語 1,800円
  1,000語まで 1語 1,200円
  1,000語以上 1語 800円
・コンセプト調整費     70,000円
・本評価料   1語 30,000円
(3) その他
作業内容等により、コンサルタント料、特別調査費等を申しうける場合があります。

「広告コンペに強い」企画書作り
・・・選に漏れたらコンサル料は無料です

CM用のテレビ映像や、ネーミングの制作コンペなどの参加される際の企画書に音相的な発想を取り入れると、具体的でユニークな提案が可能になります。

当研究所では種々のコンペの企画書作りのお手伝いをしていますが、独創的な着想による提案が高く評価され、大手代理店が参加するコンペでもトップ採用を頂くことが大変多いのです。

企画料・・・20万円。(ただし当所で提案した企画書がコンペの選に洩れたときは企画料はいただきません。

音相論的な発想から生まれたコンペ用の企画として、次のようなものがあります。

1. テレビCM用映像を制作するコンペの場合

CM画像に出てくる社名や商品名などのキーワードを音相分析し、その語が伝えるなイメージを捉えたうえ、それとの関係から生れるイメージをもとにした映像企画を提案します。

2. ネーミングの制作コンペの場合

大衆はことばの音に対し高い感性を持っていますが、その実態を具体的に捉えた学問はありません。そのためネーミングの専門家でも、音についての評価は個人のカンでしか行なっていないのが現状です。

そのため、多額の費用や時間をかけてもヒット・ネーミングはなかなか生まれないのです。

音相理論を使ったイメージ解析は、別紙の分析と評価例に見られるように、個人の主観を排除した科学的根拠を使って最優良案を選びます。

それが感覚的にも理論的にも他社とは異なる、優れた作品が提案できるのです。

3. 大量のネーミング案から優良作を取り出すコンペの
   場合

収集した大量のネーミング案の中から優良案を選ぶ作業は、これまですべて手作業で行われていますが、選ぶ人の主観や好みによってせっかくの優良作が捨てられてしまう例が多いのです。

当所では、クライアントから伺ったその商品のコンセプトをコンピューターに入力し、それに大量案を入力して個々の案のコンセプト表現度を捉え、上位のものをさらに細密分析して最優良作を推薦します。この方法を用いることで短期間で、客観性の極めて高いものがご提案できるのです。

コンサルタントの実例
・・・行動科学に応用できる音相理論

当所がお受けしているコンサルタントには、以上で上げたネーミングの制作や文芸作品の語彙などのほか、ことばにまつわる種々のものがあります。最近の例として次のものがありました。

○鉄道自殺を減らす新語はないか(大手鉄道事業社より)

鉄道自殺が発生するたび、鉄道会社は多大な被害を受けているそうですが、「自殺を考える人は真っ先に鉄道自殺を考える」という鉄道研究所の心理調査データがあるようです。

「その原因を作る1つに、駅などで行なうアナウンスに多く使われる「人身事故」という語の普及ぶりがあるようなので、この語に代わる新語を考えてもらいたい」というご相談でした。

当所では考えられる日本語の類義語や主要外国語を調査して音相分析を行いましたが、「人身事故という語が的確な意味と極めて優れた音相をもっているところから、たとえ新語を作っても、日本語からこの語を追放することはほとんど不可能でしょう」というレポートを提出しました。

○電話販売で成果を上げることばは何か?
  (某保険会社からの例 )

電話によるセールス(テレマーケティング)を行っているある大手生命保険会社からのものですが、「取扱者に十分な指導訓練を行っても勧誘成績の高い人と低い人と上がらない人がいる。その原因がことばの音が伝えるイメージにあるのではないかと考えてお尋ねした」とのことでした。

この原因は取扱者の仕事に対する向合い方の違いにあるのではと考えた当所では、人の心性や感性面を捉えるのに有効な「音相基」(注)の使用分布を調べることにしました。

(注) 音相基とは破裂音、有声音、多拍、少拍、濁音など、ことばに表情を作る40種類の表情を作る音の単位をいいます。

成績優良者と、不良者30人づつの実録テープを分析して、そこで使われている音相基を捉えた結果、やはり大きな違いがあるのがわかりました。

即ち成績優良者は、硬いイメージを伝える破裂音系(パ行、タ行、カ行)の音 の入ったことばを多く使い、成績の上がらない人は、ソフト・ムードで穏やかに伝える摩擦音、流音、鼻音などが多いことがわかったのです。

この調査により、音相などに関心のない一般の人たちでも、音が伝えるイメ ージには機敏に反応し、それにより商品への信頼度を高めたり、「保険加入」という大きな決断までしていることが明らかになったのです。

その保険会社ではその後、この調査結果を元に取扱者の訓練や新規採用テスト要綱などを改正されたようでした。

ストック商標の再チェックを!
・・・経費節減で見落としているもの

バブルのころ、各企業では将来発売される商品のため、ネーミングを商標登録する施策が広く行われました。

その種のものがいま企業内でストック商標となって大量に保管され、商標権維持のため特許庁に毎年多額の更新料を支払っています。

商標登録の申請は、化粧品、薬品、衣料品、食品、電気製品、コンピューターなど45の「区分」ごとに行ないますから、無関係と思える区分にも同じ名称で申請するため、45区分の半分くらいの個所に申請する例も少なくありません。

認可をうけた商標は、10年ごとに一区分48,500円の更新料を支払いますから、100語を20区分に登録している会社では、10年ごとに9,700 万円(年平均970万円)の支出となります。

この費用は企業内で問題になりながら、ネーミングの価値を客観的に評価できる理論や技術がなかったため、やむなく支出をしていました。

だがストック商標の中で、将来使用に耐えるものがどれほどあるかが問題です。

当研究所が調査したところでは、保有をしても成果が期待できないものが三分の一以上あることが明らかになっています。

そこでこれら商標の、評価の見直しが必要となるのです。

「当社ではその種の調査は実施済み」とお思いかもしれませんが、真に有効なネーミングとして使えるかどうかを商品コンセプトとの関係で客観的に評価できる技術は「音相解析法」をおいてほかにありません。

未使用商標の実態(推測)とその活用例

この解析法はOnsonicソフトを用いて次の方法で行います。

ストック商標を商品コンセプトごとに分け、個々のコンセプトをコンピューターに記憶させたうえ、そのグループの商標名を入力して1語ごとのコンセプト表現度を数値によって取り出すものです。

分析した結果、その商品に適さないものは他の商品や他事業部へ回してヒット・ネーミングになった例がありますし、社内で利用できないものはそれなりの対価を得て社外へ譲渡することも可能です。

音相理論の集大成書
「日本語の音相」および、「ネーミングの極意」をお分けします。

「日本語の音相」(木通隆行著、小学館スクウェア刊、)および「ネーミングの極意」(同著、筑摩新書刊)はすでに絶版となっていますが、当研究所に余部がありますのでお分けします。本書の内容はこちら

郵便番号、住所、氏名、電話番号、冊数、誌名」をメールでご連絡(こちら)いただけば郵便でお送りします。

頒布価額(送料とも) ・・・ 「日本語の音相」 2,850円
  「ネーミングの極意」 1,000円

【読者の感想】

●詩歌の音楽性を明らかにした画期的快著

日本の伝統的詩歌において不毛だった音楽性の重要さを解明された画期的な研究です。俳句の実作者としても、深く琴線に触れるものがありました。

短歌や俳句の音韻面については、折口信夫の『言語情調論』などはあってもまだ不十分で、「調べ」という曖昧な概念から抜け出ておりません。先生の「音相理論」はそれを闡明されたものと考えます。

「俳句スクエア」代表、五島篁風 (医師)

●音相という素晴らしい世界を知りました

「日本語の音相」、深い感動をもって読みました。

音相を知らずに日本語の鑑賞や評論などできないことをしみじみ知りました。目の覚めるような感動でした。

(富山、日本語研究グループ hirai)

ネーミングの分析・評価を行います