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2008年8月の記事一覧

第1号

ネーミング批評(1) 「アデランス」を分析する
…「毛髪」への洞察から生れた秀作
ネーミング批評(2) トヨタ車「カローラ」と「ヴィッツ」
を比較する
赤ちゃんの名前 名前の音で赤ちゃんの性格が決まります
  最良のお名前を推薦します
ネーミングの極意 「音相ということばの世界」
  「音」で捉えた日本語の美しさ
  音相理論の集大成版
「日本語の音相」をお分けします。

第2号

ネーミング批評(1) 「東京スカイツリー」
…音相の良さを、意味の甘さが壊している
ネーミング批評(2) 高級スポーツ・カー
「ポルシェ」と「フェラーリ」
…イメージの微妙な違いが音相分析でわかります
ネーミングの極意 「鶏頭の十四五本もありぬべし」(子規)
…音のイメージで、俳句を鑑賞する
赤ちゃんの名前 人の性格は、名前の音で決まります
  赤ちゃんの「最良の名前」を選びます

2008年8月第1号

≪ネーミング批評(1)≫ 

「アデランス」を分析する
・・・「毛髪」への洞察から生れた秀作

「育毛、発毛、かつら販売」などの頭髪関連事業を行なっているご存知のブランド名です。

毛髪は五体の中で、もっとも不定形であいまいで、取りとめない部分ですが、それだけに人の情感が伝えやすい場所でもあるようです。それは髪の毛が古くから絵画や文学などでさまざまな感情表現に使われているのを見ても明らかです。

そんなことを考えながら、「アデランス」というブランド名がどんなイメージを伝えようとしているかを見てみようと音相分析をしてみました。

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アデランス

表情解析欄を見ると、情緒性やあいまい感を伝える淡青色の表情語「非活性的」(T)、暖かさ(P)、「信頼感)(Q)、「高級感」(R)、「優雅さ」(S)を高点に置いて「髪」のコンセプトである「あいまいさ」や「情緒性」を表現しながら、濃い青色の表情語〈「軽快感」(F)、「現代性」(H)、「新奇さ、新鮮さ」(C)」を配して、商品が伝えたい軽快感や現代感などを訴えているのがわかります。

(注)青い棒グラフの読み方

濃い青 ・・・ 「活力感、若さ、シンプル感、現代感」など、明るさや活性感などプラス方向または「動」の方向を示す表情語
淡い青 ・・・ 「高級、優雅、落ち着き、安定感」など静的、非活性的またはマイナス方向を示す表情語。
中間の青 ・・・ プラス、マイナスや静・動いずれにも機能する表情語を示す。

表情解析欄を見るだけで、制作者たちの洞察の深さと豊かな表現力が感じられますが、最高ポイント数が40.9と低いため、個々の表情語が持つ煌(きら)びやかさが抑えられ、奥の深さを一段強く感じることばになっています。それらが6ポイントという異常に高い複雑度となり、情緒解析欄の「ためらい感」「神秘感」「不思議な感じ」「あいまい感」などとなって出ているのです。

この語を繰り返し口にしてみて何の違和感も感じないのは、「髪」への深い洞察と、音に対する優れた選択眼があったからだといえましょう。

≪ネーミング批評(2)≫ 

トヨタ車「カローラ」と「ヴィッツ」を比較する

「カローラ」は、わが国のクルマ・ブームの初期に売り出され、販売台数が世界で最も多い車といわれていますが、その次世代戦略車としてトヨタが開発したのが「ヴィッツ」です。

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カローラ

「カローラ」の音相を分析すると、表情解析欄ではプラス指向のイメージを作る濃青色の表情語をいっさい使わず、淡青色の表情語だけに絞っているため高級車のイメージを高い純度で表現した語であることがわかります。それが情緒解析欄の「夢幻的、神秘的、不思議な感じ、大らかさ」などのとなり、コンセプト・バリュー欄の「中高年齢層向き」ともなって出ているのです。

また高い優雅感や高級感を作った今1つの理由として、表情語トップのポイント数を30.0と極めて低く抑えたことがあげられます。

(ポイント数を抑える効果については「前項「アデランス」で触れたので省略します。)

だがこの語の場合、高級車として表現したい「メカの優秀さ」がまったく出ていません。それがもしわずかでも出ていたら、人々のこのクルマに対するイメージ的な共感はさらに高まっていたと思うのです。

次に「ヴィッツ」を見てみましょう。

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ヴィッツ

表情解析欄を見るだけで、このネーミングがカローラとは対照的な豊かな表情を持つ語であることがわかります。

実用性を表す「シンプル、強さ、鋭さ、軽快、溌剌さ、開放感、合理性、個性的、活性感」から、優雅さを表す「爽やかさ高級感、清潔感、暖かさ、非活性感」まで、クルマが表現したいコンセプトを幅広く、高ポイントで捉えているし、表情語の選択の正しさも見られますが、ポイント数が全体的に高いため、派手さやモダンさが前に出すぎて、カローラが捉えたような余情や奥行感があまり感じられないのが気になります。

名前の音で赤ちゃんの性格が決まります

日本人は、「さわやか」ということばを聞くと、意味とは別に清らかさやすがすがしいムードを感じ、「でこぼこ」という語を聞くとゴツゴツした不安定なものを感じます。

ことばは、このように意味とは別にイメージを伝える働きをしています。

人の名前もことばの一種ですから、「けんいち」という音を聞くと誰もが庶民的で行動的で明るい性格に人をイメージし、「みさき」からは明るく活発な人を想像します。

このような感覚は日本人の誰もが同じように持っているものですが、同じイメージを持つ自分の名前を毎日何十回と呼ばれて育つうち、その音がもつのメージがその子の雰囲気となり、それが性格の中へと入ってゆくのは極めて自然なことといってよいでしょう。

名前の音と性格の間にはそんな関係にありますから、大成した政治家の名前を分析すると、「バイタリティー」、「社交家」、「明るい」などがほぼ例外なく高点で出ますし、有名な芸能人の名前を分析すると「派手」、「社交的」、「個性的」などがやはり高点で出るのです。

昔から「名は体をあらわす」と言われていますが、生まれてくる子を「健康で社交的な性格にしたい」と思ったら、そういうイメージをつくる音の入った名前を付けてあげると、自然にそういう人になってゆくのです。

赤ちゃんの名前をつけるとき、字画などで運勢を調べるのも大切ですが、一生を幸せに過ごせるよう、名前の音のイメージをよくよく調べてつけてあげねばならないのです。

それは、ご両親から生まれてくる子の生涯に贈るの、この上ないプレゼントといえるのです。

最良のお名前を推薦します。

音相システム研究所では、生まれてくる赤ちゃんのお名前案の幾つかと、こんな子に育てたいと思う命名者(ご両親など)の願いをお知らせいただくと、音相分析を行なって、それにかなったお名前案をコメントをつけてご報告します。

1.知らせていただく事項
(1) 赤ちゃんの苗字
(2) 男女の性別
(3) 赤ちゃんに期待する性格
3~6項目を箇条書きで、なるべく具体的にお書きください。
(4) 表記の仕方
苗字とお名前案は平仮名、またはカタカナ書きで、「ろう」は「ろー」、「しゅう」は「シュー」のように発音どおりにお書きください。
(5) お名前案の数
特に制限はありません。
(6) 分析結果の発送先の郵便番号、住所、氏名、電話番号
2.申し込み方法
 このホームページの「お問い合わせ」欄(ここをクリック)から
 郵便の場合 ・・・ 〒239-084 横須賀市野比3-09-3
音相システム研究所あて
3.報告書の発送
分析評価の結果は、1週間以内に郵便でお送りします。
4.料金
分析料 1分析 3,500円
(お名前案が3案あるときは3分析となります)
(振替口座用紙を同封します)

≪ネーミングの極意・シリーズ≫ 

「音相ということばの世界」

「青い海」ということばを聞くと混じりけのない原色の青がイメージされますが、「ブルーの海」からは、赤や緑や黒などの混じった複雑な青の色が感じられます。

また、「甘いと辛い」、「強いと弱い」、「明るいと暗い」など反対の意味をもつ語を比べると、それぞれが意味や内容にふさわしい音を持っているのがわかります。

このようにことばは意味だけでなく、意味のまわりにあるイメ-ジを伝える働きもしているのです。

ことばが伝えるイメージや雰囲気は音によって伝わるので、これを「音相」と呼んでいます。

私たちはほとんど無意識的に、意思や感情を正しく伝えようとその内容にふさわしい音をもつ語を選びながらか会話をしていますが、そのような音を選ぶ感覚は、日本人の誰もが同じように持っているのです。

誰もが同じように持つからこそ、初対面の人とでも微妙な会話ができるし、面白いことばがあっという間に全国に広がったりもするのです。

このようなことばのイメージの研究は、紀元前4世紀、ギリシャの哲学者へラクレートスがその一部を述べた記録があるようですが、その後、言語学や心理学などで研究され、象徴理論という名で扱われています。

だがその取り組みは、明白な特徴をもつ一部の音節だけが対象だったり、抽象的表現に止まっているため、それを使って日常語がもつイメージを具体的なことばで取り出すことなどはできません。

わが国にも、古くからこれに近い研究がありました。

鎌倉時代に僧仙覚が提唱し、江戸期になって鴨真淵、本居宣長、橘守部などが引き継いで、一時は国学の中心にもなった「音義説」です。

これは、[アは顕わるるさま][サは清らかなるさま]など、五十音の1つ1つがもつイメージを捉えたものですが、「ア」という音を[顕わるるさま]と定義すると[穴]の「ア」は説明できないし、「サ」の音を「清らかなるさま」と定義すると、「腐る」の「サ」や「ドサクサ」の「サ」の説明はできないなど、矛盾する語がいくらもでてきます。

ことばが作るイメージを「ことばの科学」がなぜ具体的に捉えられないのか、それは複雑な構造をもつ「イメージ」を、「音節(拍)」や「音素」という大雑把な音の単位で捉えようとしているからにほかなりません。

「イメージ」を具体的なことばで捉えるには、イメージと音の構造の関係を、音素のさらに奥にある「音相基」というもので捉えなければならないのです。

その音相基を元に、ことばのイメージを解明したのが音相理論です。

この理論が出現したことで、ことばの音が作るイメージが取り出せるようになり、文芸作品などの内面にさらに近づけるようになったのです。

「音」で捉えた日本語の美しさ

日本人には、独特な「ことば感覚」があるようです。

それを音(音韻)の面で捉えてゆくと、その根源となるものに、日本語が開音節語であることと、膠着語であることが上げられるように思います。

まず開音節語が原因と思えるものを見てみましょう。

開音節語とは拍(音節)の終わりに母音をともなう言語のことで、日本語のほかにもイタリー語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ポリネシア語などがありますが、日本語はそれらの中でもほぼ完全形に近い開音節語といわれています。

日本語は子音どまりの音節が多い閉音節の言語(ドイツ語、ロシア語、英語など)と違い、拍の区切りが明白なため、拍を意識する傾向から、七、五調や三、四調などの「音数律」の形式が生まれたり、濁音や促音、逆接拍、順接拍、無声化母音、他援効果など、拍を対象とすることば感覚が発達したように思います。

次に、膠着語であることから生まれるものを見てみましょう。

膠着語とは、意味を持つ語(語幹)の前や後に、それ自体では意味をもたない語(接辞)をつけて、語幹がもつ意味に微妙な変化が加えられる言語をいい、フィンランド語、トルコ語、モンゴル語、朝鮮語などにもその例があるようです。

源氏物語の中に「にほひやかげさ」ということばがあります。

この場合は「にほひ」(匂い)が意味をもつ語幹、「やか」「げ」「さ」はいずれも独立した意味を持たない接辞です。

これらを辞書で引くと、次のように出ています。
(旺文社『古語辞典』)

にほひ ・・・ (1)色が美しく映えること、(2)つやのある美しさ、(3)かおり、
(4)風情、気品
・・・ (1)~の状態
やか ・・・ (1)~のようすである、(2)~らしくみえる、(3)~らしい
やか ・・・ (1)程度、状態を表わす

そこで「にほひやかげさ」を直訳すると、「美しく映えるような状態にみえる程度(?)」とでもなるのでしょうか。

すなわち、「にほひやか」だけで意味はほとんど伝わるのに、さらに「げ」 、「さ」をつけて、「にほひ」という意味の上にさまざまな薄絹のベールをかけたような、イメージが微妙に違う単語がいくつもできてゆくのです。

源氏物語には「ものこころぼそげ」(何となく心細そうな様子)、「なまこころづきなし」(何となく気にいらない感じ)など、類似の例が多いようです。こういうところにやまとことばの表現の豊かさや幽玄さがあるといえるのです。

研究者の調査によると、紫式部が源氏物語で使った語彙の数は、その600年後に出た文豪シェイクスピアの全作品に出てきた語彙の数よりはるかに多いそうですが、それには膠着語という特殊な言語構造が大きく関わっているように思うのです。

膠着語は現代でも日本語ならではの微妙なアジを作っているのがわかります。(下線は接辞の部分を示す)

(例) 迷う、高い、客、大御神、代、真っ白、霧、ほろ苦い、
うら寂しい、うそ寒い、もの珍しい、春めく、惜し、恥ずかし(る)、
年寄りじみ(る)、華(ぐ)、寂しげ、晴れやかそぼ降る、美し
ひた隠す、細い、嬉しだ、ま昼、煙い……

また若者たちが使っている次のような「ぼかしことば」も膠着語の超現代版といえましょう。

  食事などしようか
わたしにはそれで良い
話しとかしようとしたら
彼は反対みたいだった
それなんか良いと思う・・・

音相理論の集大成版
「日本語の音相」をお分けします。

日本語の音相」(木通隆行著、小学館スクウェア刊、)はすでに絶版になっていますが、当研究所に余部があるのでご希望の方へお分けします。

本書の内容はこちら

郵便番号、住所、氏名、電話番号、冊数、配達希望時間などを研究所(こちら)にご連絡いただけば郵便小包でお送りします。(定価3.800円)

 

読者の感想

●詩歌の音楽性を明らかにした画期的快著

日本の伝統的詩歌において不毛だった音楽性の重要さを解明された画期的なご研究です。俳句の実作者としても、深く琴線に触れるものがありました。

短歌や俳句の音韻面については、折口信夫の『言語情調論』などはあってもまだ不十分で、「調べ」という曖昧な概念から抜け出ておりません。先生の「音相理論」はそれを闡明されたものと考えます。

「俳句スクエア」代表、五島篁風 (医師)

●音相という素晴らしい世界を知りました

「日本語の音相」、深い感動をもって読みました。

音相を知らずに日本語の鑑賞や評論などできないことをしみじみ知りました。目の覚めるような感動でした。

(富山、日本語研究グループ hirai)

ネーミングの分析・評価を行います

2008年8月第2号

≪ネーミング批評(1)≫ 

「東京スカイツリー」
・・・音相の良さを、意味の甘さが壊している

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東京スカイツリー

東京・墨田区に建設中の、610mのマンモス・タワーの名前です。

表情解析欄で見られるように、大都会をイメージさせる「優雅さ(S項)」や「若さ(G項)」、「充実感(R項)」と、未来思考的イメージを作る「個性的(K項)」、「充実感(R項)」、「合理性(J項)」、「シンプル感(A項)」などが高点に並んでいて、コンセプトを的確に捉えた優れたネーミングであることがわかります。

だがそのような音相の良さが、この語の場合意味的表現の甘さによってマイナス方向へ大きく引き戻されているのを感じます。

それは、この建造物を「tree(木)」と表現したことにあるようです。

会社側はその理由をホームページで「木のそばに心を寄せ合うコミュニティ ー作りの場」と言っていますが、第三者の眼から見てこの建物に抱くイメージは、枝や葉が横に広がる「木」ではなく、未来や宇宙に向かってそびえ立つ、1本立ちの「タワー」なのです。

この語の次の問題は「トゥリー(tree)」を「ツリー」と呼ばせていること です。日本語では「t~」の音を、「ts」(ツ)や「t∫」(チ)に読み替えて「トゥール」を「ツール」、「ティーム」を「チーム」と発音しますが、この大胆な読み替えに日本人でも違和感をおぼえる人は少くないはずです。それが世界の大東京のシンボル的な建造物の名となると、かつてJRが正式名称に指定した「E電」が大衆の間では「旧国電」などと呼ばれたように、「ツリー」を嫌って「新東京タワー」などの俗称で呼ばれる懸念があるからです。

大衆が直感的に抱いたイメージなど、すぐ忘れられると思われがちですが、大衆が第一印象で捉えたものは、原型のまま心の奥に留まって、マイナスに作用し続けるものなのです。

≪ネーミング批評(2)≫ 

高級スポーツ・カー「ポルシェ」と「フェラーリ」
・・・イメージの微妙な違いが音相分析でわかります

世界最高級といわれるスポーツカー「ポルシェ」と「フェラーリ」。

「ポルシェ」(ドイツ)はゲルマン風の堅実さ、「フェラーリ」(イタリー)はラテン風の華やかさとスマートさのあるクルマといわれています。

このような個性(コンセプト)の違いを、ネーミングの音がどこまで表現しているかを見てみようと、分析してみました。

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ポルシェ・フェラーリ

これらの語の最高位から3分の2までの表情語を比べると、次のようにどちらもスポーティーな高級車に必要なコンセプト、「スピード感、高級感、流動感」を十分表現した語であることがわかります。

・スピード感 ・・・ 「動的、活性的(D項)」、「若さ、溌剌さ(G項)」、「軽やかさ、軽快感(F項)
・高級感 ・・・ 「高級感、充実感(R項)」、「静的、非活性的(T項)
・流動感 ・・・ 「特記事項欄」

それに加えて「ポルシェ」が表現したいコンセプト、「堅実さ」を次の各項が、

「合理的、現実的(J項)」、「都会的、現代的(H項)」、「シンプル感、明白さ(A項)」、「強さ、鋭さ(L項)」

また「フェラーリ」が表現したいコンセプト、「華やかさ、スマートさ」を、次の各項がそれぞれ高点で捉えているのがわかります。

「派手、賑やか(E項)」、「高級感、充実感(R項)」、「個性的、特殊的(K項)」、「都会的、現代的(H項)」、「若さ、溌剌さ(G項)」、「軽やかさ、軽快感(F項)」「シンプル感、明白さ(A項)」、「健康的、清潔感(O項)」

以上から、両車が高級スポーツ・カーのイメージと、ゲルマンおよびラテンの個性を的確に表現した、優れたネーミングであることがわかるのです。

≪ネーミングの極意・シリーズ≫ 

「鶏頭の十四五本もありぬべし」(子規)
・・・音のイメージで、俳句を鑑賞する

晩年の正岡子規が病床から庭の眺めを詠んだ有名な句ですが、俳人、斉藤玄がこの句について「鶏頭の七八本もありぬべし」と読み替えたらどうなるかという説を称え、俳壇で論議を呼んだことがありました。

これについて評論家・山本健吉は「現代俳句」(角川文庫)で、

「これらの句を、ことばに出して言ってみればその優劣は明らかだ。それは意味と音の間で醸(かも)し出される不思議な効果によるものだ。その秘密を解明できる人はいないはずだが、それを信じない人は、芸術などやめたが良い」(意訳)

と述べています。

だが音相理論を用いると、山本氏のいう「意味と音の間で醸し出される不思議な効果」が具体的な根拠によって説明できるのです。

「七八本」と「十四五本」の音相を分析して「表情解析欄」の上位の部分をくらべてみました。

「じゅーしごほん」の表情語
非活性的 60.0%
安定感 54.5%
充実感 50.0%
高尚さ 36.4%
「しちはちほん」の表情語
庶民的 100.0%
活性的 90.0%
躍動感 87.5%
清らかさ 87.5%
現代的 80.0%
賑やか 75.0%
明るさ 60.0%

すなわち、「七、八本」という語は「庶民的、活性感、賑やかさ、明るさ」など、平穏で健康的なイメージを作る表情語でできたことばですが、「十四五本」には「非活性的、安定感、充実感、優雅感」など、達観や無常観などのイメージを作る表情語でできているため、「十、四、五本」からは子規の複雑な心象がそこはかとなく聞こえてくるのです。

この判断は、「有効音相基欄」が取り出している次の音相基から得られるのです。

・十四、五本(無常観) ・・・ 有声音が多い。オとウ音が多い。マイナスの高輝性語。
・七、八本(明るさ) ・・・ 無声音が多い。イ音が多い。プラスの高輝性語。

人の性格は、名前の音で決まります

「厳粛(げんしゅく)」ということばを辞書で引くと、「まじめでおごそかな様子」と出ていますが、そのような意味とは別に、この語からは冷たく厳しいイメージが伝わりますし、「さわやか」ということばは、辞書にでている意味とは別に、すがすがしく清らかな雰囲気が伝わってきます。

ことばはこのように、「意味」のほかに「イメージ」を伝える働きもしています。

「けんいち(健一)」という音を聞くと、多くの人が行動的な子をイメージするし、「みさき(美咲)」という音からは明るく活発な子をイメージします。

毎日、何回となく「けんいち」、「みさき」と同じ名前を呼ばれて育つうち、名前の音が持つイメージがその子自身のイメージとなり、それがその子の性格に入ってゆくのは極めて自然な成り行きといえましょう。

人の性格はその後の環境などでさらにいろいろなものが加わりますが、幼少時身につけた基本の性格はほとんど変わることなく心の奥に止まり続けるものなのです。

そのため、大成した政治家の名前の音相を分析すると、「バイタリティーがある」、「社交的」、「明るい性格」などの表情がほとんど例外なく最高ポイントで得られますし、芸能人の名前を分析すると「派手」、「社交的」、「個性的」などに高点の人が多いのです。

名前の音はこのように、人の一生を方向づけますから、生まれてくる赤ちゃんを「健康で社交的な性格の子に育ってほしい」と思ったら、そのようなイメージをもつ音で名前を付けてあげねばならないのです。

赤ちゃんの名前をつけるとき、字画などで運勢面を調べることも大事ですが、幸せな性格になる名前をつけてあげるのは、赤ちゃんに贈るこの上ない「プレゼント」だといえるのです。

赤ちゃんの「最良の名前」を選びます

音相システム研究所では、幾つかのお名前案と、こんな性格の子になってほしいというご両親の願いをお知らせいただくと、それに叶ったお名前案にコメントと順序をつけて報告します。

1.お知らせいただく事項
(1) 赤ちゃんの男女別
(2) 赤ちゃんにつく苗字
(3) 候補に上っているお名前案(数に制限はありません)
(注)(2)項と(3)項はひらがなまたはカタカナ書きし、「ろう」は「ろー」、「しゅう」は「しゅー」のように発音どおりにお書きください。
(4) 赤ちゃんに期待される性格
3~6項程度に絞り、なるべくを箇条書きしてください。
(5) 期待する職業があればその職業名
(6) お申込者の郵便番号、住所、氏名、電話番号
2.お申込方法
 このホームページの「お問い合わせ」欄(ここをクリック)から
 郵便の場合 ・・・ 〒239-084 横須賀市野比3-09-3
音相システム研究所あて
3.報告書の発送
評価結果は、1週間以内に郵便でお送りします。
4.料金
分析料 1分析 3,500円
(お名前案が3案あるときは3分析となります)
ご送金は、報告書に同封する振替口座用紙をご利用ください。
ネーミングの分析・評価を行います