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12月の記事一覧

19年12月20日号

≪ネーミング批評(1)≫ 

NHKという音は、
     どんなイメージを伝えているか

日本人は、誰もが「ソヨソヨ」ということばの音に爽やかさを感じ、「ガラクタ」という音に雑然としたものをイメージする共通的な感性をもっています。

ことばの音が伝えるこのようなイメージと、イメージを作る音の構造の関係を理論的な根拠をもとに明らかにしたのが音相理論です。 この理論を使って人々が「エヌエイチケー」という音を、どんなイメージで聞いているかを捉えてみようと音相分析をしてみました。

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NHK

まず、表情解析欄の表情語を高点順に見てみましょう。

最高点は「庶民的」で、それに続いて「個性的、特殊的、現代的、都会的、解放的、明るさ、活性的、健康感、派手さ、若さ」などが並んでいます。

この表情語から、この語が庶民的、大衆的で都会的なイメージをもつ語であることがわかりますが、下位の方をみてゆくと「優雅、高級、爽やか、充実感」などがほとんどゼロポイントになっているため、この語は、大衆的、活力的ではあるが、文化的な奥行き感や情緒をもたないことばであるのがわかります。

それは、「複雑度」欄がゼロであることや、情緒解析欄に情緒語が少ないこと、コンセプトバリュー欄がヤング層に大きく偏っていることからも裏づけられますが、そういうイメージが生まれたのは、この語が順接拍(子音、母音がプラスまたはマイナスの同一方向を向く音をいう)だけでできていることと、「イ」音の使用が拍数に比べて多いこと、それに勁性値(音の強さ)と輝性値(明るさ)の高い拍(高勁輝拍)が3音もあるため生まれたものであることが有効音相基欄(ここでは省略しましたが)を見るとわかるのです。

最近、このような意味も感情もないアルファベットを並べたネーミングが増えていますが、ただの「記号」に過ぎないアルファべットの組み合わせで情緒性や人間性を表すことはたいへん無理があるのです。

≪ネーミング批評(2)≫ 

「伊右衛門」(お茶・・・サントリー)
   の優れた感性

「普通のお茶と一味違うお茶」というのが、 缶茶「伊右衛門」のコンセプトです。

「お茶らしくないお茶」というたいへん難しいコンセプトを、どういう音で表現しているかに興味をかんじて音相分析をしてみました。

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伊右衛門

表情解析欄をみると、上位のところに「庶民的、にぎやかさ、シンプルさ、動的、強さ」などお茶がもつ一般的な雰囲気と反対イメージの表情語がならび、日本茶の雰囲気を作る「高級感、充実感、静的、清らかさ、高尚、優雅さ」などはほとんどゼロポイント付近においているのがわかります。

さらに仔細にみてゆくと、「お茶らしくないお茶」を表すため、多くの缶茶の名で使われている「他援効果」をこの語はあえて避けていることに気づきます。

「他援効果」とは、語中の一部の拍(音節・・・ここでは明るく強い「チャ」の音)をさらにいっそう際立たせるため、反対方向を向く(ここでは暗く重たい)イメージを作る音を前後に配する手法です。

「どくだみ茶、ウーロン茶、お~いお茶、十六茶、がば茶、午後の紅茶」などにみられるように、多くの缶茶の名前に使われていますが、伊右衛門では「チャ」の音を使わず、他援効果も見られません。

そして、やや行き過ぎた感がある「お茶らしくなさ」を「お茶らしさ」の方に引き戻すため「伊右衛門」という古風な文字を使っている・・・そういう配慮がここで成功だったかどうかは別として、さまざまな音相技術を駆使した意欲作といってよいでしょう。

≪ネーミングの極意・シリーズ≫ 

「広告コンペ」 に強い音相分析法
・・・・選にもれたらアイデア料は頂きません

広告代理店が各種の広告コンペ(コンペティション)に参加されるとき、制作意図などを書いた企画書をクライアントに提出しますが、企画書は内容がアバウトなもののため抽象的で説得力の弱いものになりがちです。

だがそこに「音相分析」の手法を用いると、具体的でユニークな企画書が作れます。

当研究所では、テレビのCM画像やネーミングの制作など、代理店が参加されるいろいろなコンペの企画・制作のお手伝いをしていますが、大手広告代理店が参加されたコンペでも、音相分析を取り入れたものは、理論的な確かさと具体性が評価され、これまでに参加したコンペでは例外なく採用されています。

音相分析を使った提案は、コンペの種類によっていろいろ違いがありますが、主なものを次ぎにいくつか上げてみました。

1. 「テレビCMを制作する」コンペの場合
   広告する商品名の音相を分析して、大衆がその語にどんなイメージを抱いているかを捉えたうえ、さらにその印象性を高めるため、またはその語の欠落面を補ううえ、必要な映像企画を提案します。
2. 「競合する商品を意識しながら新商品のテレビCMを制作する」
コンペの場合
   競合する商品名と自社の新商品名の音相を分析して、音相差を捉えたうえ、それを元に効果的な映像企画を提案します。
3. 「ネーミングを制作する」コンペの場合
   音相分析表とその評価文の実例「音相分析表と評価の実例」(クリック表示)をクライアントに提示して音相分析についてあらましのご理解を得たうえ、ネーミングの専門家でも正しい把握が難しい「大衆の平均的感性」の視点に立って、コンセプトを十分表現したすぐれたネーミングを提案します。
 (また、ネーミング案が20語以上あるときは、「ラフ分析法」を用いて低料金で分析評価ができる方法も提案します。)
4. 「現用されている商品を意識しながら新商品名を制作する」
コンペの場合
   前記した「分析表と評価の実例」をクライアントにお見せして音相分析のあらましをご理解いただいたうえ、現用されている商品名を分析しその語の長所や問題個所を正しく捉え、それをベースにより有効なネーミング案を明白な根拠をつけて提案します。
 (当所がご協力したコンペが選にもれたとき、企画料は頂きません。)

本件についてのお問い合わせは、こちらへ

「ネ-ミング批評」はこれまで
     ナゼ存在しなかったのか

文芸や絵画、音楽、映画など、すべての創作物には、個々の作品を客観的な立場に立って評価する「作品批評」というジャンルがありますが、ネーミングの分野には抽象的な評論はあっても、個々の作品の批評は行なわれておりません。

「批評」という分野が成り立つには、そこに普遍的、客観的な価値の基準がなければなりませんが、表現法が多種多様なネーミングの場合は、普遍的基準となるものを捉えることが困難だったからでした。

だが、大衆の音響感覚が高度に発達し、音韻が作るイメージ(音相)で大衆がネーミングの良否を評価している現在では、大衆の平均的感性を尺度にした作品批評が成り立つように思います。

このサイトではそんな考えをもとにして「ネーミング批評」欄を設けました。

この欄はメインのアイテムとして、毎号掲載してゆきますが、忌憚のないご意見、ご要望などをお聞かせいただければ幸いです。

「お問い合わせ」欄 へ

ネーミングの「分析・評価」を行います。

音相システム研究所では、企業等からのご依頼によって、社名、ブランド名、商品名などの「分析と評価」を行なっております。

別欄にその実例を掲載してありますので、ご参照ください。

音相分析および評価・料金表    (注・いずれも消費税を含みません)
(1) 個別評価の料金  (本評価料…1語ごと本評価をおこなうもの)
  1語(1分析) 30,000円
(2) 総合評価の料金  (ラフ評価と本評価を組み合わせたもの)
・ラフ分析料 50語まで 1語 2,000円
  100語まで 1語 1,800円
  1,000語まで 1語 1,200円
  1,000語以上 1語 800円
・コンセプト調整費 1コンセプトごと   70,000円
・本評価料   1語 30,000円

(注)総合評価を行なう対象は語数20語以上、本評価語数5語以上とします。

(3)  その他の費用
1. コンサルタント料 (30分につき) 5,000円
2. 出張料 (1日) 10,000円
3. 特別調査費、事務費等   (実費)
4. 交通費、宿泊料   (実費)
(参考) 総合評価(2)の料金 【例】
(例1) コンセプト数1、ラフ評価数20語、本評価5語の場合 ・・・・ 260,000円
(例2) コンセプト数1、ラフ評価数100語、本評価5語の場合 ・・・・ 400,000円
(例3) コンセプト数1、ラフ評価数1,000語、本評価10語の場合 ・・・・ 570,000円
(例4) コンセプト数1、ラフ評価数5,000語、本評価10語の場合 ・・・・ 4,370,000円

19年12月1日号

≪ネーミング批評(1)≫ 

「クユラ」(ボディーソープ)

洗うばかりでなく、スキンケアもするボディー・ソープ「クユラ」。そのキャッチ・コピーは「心やすらぐ香り・心華やぐ香り」とでています。

こういうコンセプトを、ネーミングがどのように表現しているかを見てみようと、音相分析をしてみました。

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クユラ

表情解析欄を見ると、「静的・信頼感・暖かさ・優雅さ・高級感」などの表情語が高点で並び、この語が気品や高級感(複雑さ)や安らぎ感を表現している語であることがわかります。

また情緒解析欄にも「情緒的、神秘的、孤高感、クラシック感」などがあり、表情語をムード的にフォローしていることがわかります。

だがこのネーミングには、大事な訴求点の1つ「華やぐ感じ」がどこにも出ていないのが気になります。

ネーミングに華やぎ感を入れるには「明るさ」「若さ」「躍動感」「都会的」「賑やかさ」「活性感」などが、ある程度高点で出ていなければなりませんが、この語の場合それらがどれもゼロ・ポイントになっていることです。

気品や優雅感やクラシックな落ち付きの中に、華やいださざめきが僅かでも入っていたら、この語の味わいはさらに深まったように思うのです。

≪ネーミング批評(2)≫ 

女が落ちる?
 ボディースプレー「アックス」

男性用ボディースプレー「アックス」は、フランスのユニリーバ社が発売して以後世界80カ国で売られ、この春から日本でも発売されました。

CMのキャッチコピーには「香りは男の武器」とあり、ブログでは「女が落ちるボディー・スプレー」などと出ているように、女性にもてたい男性が買う商品ですから、ネーミングには女性が好むイメージを作る音が入っていなければならないはずです。

それを「アックス」が、どの程度表現しているか見てみようと、音相分析をしてみました。

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アックス

予想したとおり、表情解析欄のトップの部分には現代女性が男性に求めると思えるような、次の表情語が並んでいます。 「活性的、清潔感、現代的、躍動感、庶民的(適応性)、若さ、新鮮さ、軽快感」・・・

さらに仔細に見てゆくと、昔から「いい男」の典型とされていた「強さ、高級感(理性的)、個性的、充実感、優雅さ」などはごく低位のところにしかないし、情緒解析欄には情緒をあらわすことばは1語もありません。

「アックス」は、現代女性の男性観を、音相を使って見事に表現したうまいことばであることがわかるのです。

≪ネーミング批評(3)≫ 

トゲのあることば・・・「チデジ」

「テレビが近くチデジに代わります。」という放送がよく聞かれます。

「チデジ」は「地上デジタル放送」の略語ですが、この語の音の響きの悪さが気になるので、原因がどこにあるかを見てみようと音相分析をしてみました。

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チデジ

表情解析欄の上位部分を見ると、次のように「静と動」「硬と軟」「明と暗」など、反対方向を向く表情語が高ポイントで並んでいるのがわかります。

個性的 (64.3p) 適応性 (50.0p)
現実的 (60.0p) 優雅さ (45.5p)
シンプル(50.0p) 非活性的(45.0p)
シンプル(50.0p) 適応性 (50.0p)
若さ  (50.0p) 非活性的(45.0p)

・・・・・・・・・

このようにイメージの相反する表情語が高点で並ぶと、反対方向のイメージが同時に叫びあうためただ騒がしいだけで、メインとなるイメージ(表情)が聞こえてこない語になてしまうのです。

のような語は、「チデジ」のほか「デパ・チカ」、「パソ・コン」「アメ・フト」「デカ・パン」など、意味が異なる2つ語の一部をつないだ造語に多くみられますが、この種の語は意味が優先で、音への配慮なしに作る場合が多いため、音相を分析しても明白な表情の出ないことばが多いのです。

「チデジ」は暗く冷たい何かが突き刺さってくるような音ですが、それは3音ともすべて破裂音系の音でできているうえ、響きの暗い濁音が2音も入っていることと、「注意事項欄」にも出ている「難音感」があることです。

難音感とは、言いにくく聞きにくさがあることをいいますが、ことばの音の流れを乱します。その難音感が作る「ギクシャク」さが、この語に異常な雰囲気を添えているのです。

難音感がこの語に生れた理由もまた、破裂音系の3音連続と、濁音が2連続(で、じ)によるものです。

【ネーミングの極意・シリーズ】

「広告コンペ」 に強い音相分析
・・・具体的で説得力のある企画書がつくれます

広告代理店が各種の広告コンペ(コンペティション)に参加されるとき、制作の意図などを示した企画書をクライアントに提出しますが、企画書は内容がアバウトなものであるため、説得力の弱いものとなりがちです。

だがその企画書に「音相」的な要素を取り入れると、具体的で説得力の高いものが作れます。

当研究所では、代理店さんが参加するテレビCM用の画像の制作や、ネーミングの制作コンペなどの際のお手伝いをしていますが、大手広告代理店が多数参加されるコンペでも、音相分析を組み入れたものは、いずれも高い評価をいただいて、これまでの コンペではほぼ例外なく合格し、作品化されています。

音相分析を取り入れた提案には、コンペの内容によって種々のものがありますが、そのいくつかを次に上げてみましよう。

1. テレビCMを制作するコンペの場合

広告する商品の商品名を分析して、その語の音が大衆にどのようなイメージを伝えているかを捉えたうえ、そのイメージをさらに深める(またはその語に不足するイメージを補う)のに必要な映像やキャラクターを選ぶ制作手法を提唱する。

2. ネーミング制作のコンペの場合

このサイトのトップページに掲載してある「音相分析表と評価の実例」をクライアントに提示して、音相分析へのあらましの理解を得たうえ、この分析法を用いて優良ネーミング案を取り出す方法を提唱する。
(この場合、ネーミング案が20語以上と大量のときは、「ラフ分析法」を用いて低額で分析評価する方法もあります。)

3. 「競合する商品を意識して作られた新商品」のネーミング・コンペの場合

前記した「分析表と評価の実例」をクライアントに提示して音相分析についてのあらましの理解を得たうえ、競合する商品名を分析してその語の長所および隠れている短所を捉えたうえ、それに対応する効果的なネーミング案を推薦する手法を提唱する。

本件のお問い合わせは、
 音相システム研究所へ。

ネーミングにおける「カン」とは何か

人は誰でも生まれながらの資質や経験などで身につけた「カン」を持っています。そのカンは性格や個性にもかかわるものだしその人の価値の1つでもありますが、そのカンがネーミングを制作する場合は災いとなることが少なくありません。

ある会社がネーミングを決定するにあたり、審査員に有名な作曲家を招きました。ネーミングに音の大切さを知るトップの発想によるものでしたが、その作曲家が主導して選ばれたネーミングが社会へ出たとたん人々の強い不評を買って、2年足らずでその使用を取り止めたことがありました。

このことは、音楽の専門家がもつカンと、ネーミングの制作に必要なカンは似ているようで全く別のものであることを示しています。

ネーミングの制作で必要なカンとは、音楽家や詩人などが持つカンではなく、「平均的な大衆が、ある語に感じるイメージを正しく捉えるカン」なのです。 

音相論では、これを「大衆の平均的感性」と呼んでいます。

そういうカンを身につけるには、ことばの音についての造詣と、大衆が使うことばの中にそれを捉える訓練が必要です。

ネーミングの制作にたずさわる人には感性豊かな人が多いですが、そういう人がもつカンの多くは大衆の平均的なカンではなく、本人の好みや主観から生まれ育ったカンであることを、常に意識していなければならないのです。

「日本語の音相」をお頒(わ)けします

こちらは既に完了しました