音相マガジン

3月の記事

2005年03月24日(木)
「ガラクタ」「まぬけ」「ダサい」を分析する?

    ― ネガティブ語 ― は下から読め

「ガラクタ」という語を分析すると、「庶民的、現代的、進歩的、シンプル、充実感」など、意味の方向がバラバラで、まったく見当はずれの表情語が上位に並んでいます。
  このような分析表を見て、音相分析法は当てにならないと思われる方がおられるかもしれませんが、音相分析がこの語の音相を正しく捉えていればこそ、このような表情語が出るのです。

  「ガラクタ」 とは、静も濁も、硬も軟も、明も暗も、何もかもをごちゃ混ぜにした状態を表すことばですが、音相分析では、無関係な表情語を乱立させることでそうした状態を言い表しているのです。
  表情語には、ネガティブ(否定的)な意味を持つ語は使いませんが、ポジティブな表情語を使ってネガティブな語を分析すると、このような表現になるのです。そのためネガティブ語を分析するときには、特殊な読み方が必要となります。

  ネガティブな意味をもつ語を分析するときは、上部の表情語にあまり捉われず、おおむね半分以下の順位(10項以下)にある表情語を裏返しにして読むことです。
  「ガラクタ」 の場合、10位以下では 「安らぎ感がない、安定感がない、清潔感がない、優雅さがない、明るさがない、活性感がない、清らかさがない」 とでていますから、この語の表情を捉えているではありませんか。
  ネガティブ語は下から読む。分析表を読む際はこんな配慮も必要なのです。

  同じような傾向が 「馬鹿、間抜け、ケチ、きたない、ださい、不潔…」 などにも明白に見られます。あなたも体験版でお試しください。

2005年03月24日(木)
「名前を変えたら人気が落ちた」という話

■ 2004せんだい・杜の都 親善大使
 
  七夕祭りや、光りのページェントなどで活躍していた 『ミス仙台』 の名が、昨年から 「2004せんだい・杜の都親善大使」 と改称されました。
  改称の理由は、男女共同参画の風潮にあやかって、昨年から男性も応募できることになったため、『ミス』 を 『親善大使』 に改めたのだそうです。
  ところが改称された昨年は、応募者が前年の6割くらいに減ったようで、問題の男子の応募者は10名だったとか。

  これは新しいネーミングに応募者が魅力を感じなかったことが大きな理由といえましょう。
  この語の音相上の欠陥がどこにあるかを次にあげてみました。

1.「ミス」 が 「親善大使」 に変わったうえ、「2004せんだい・杜の都」 をくっつけたため、音(拍)の数が 「ミス仙台」 の7拍から24拍へと増えました。

  その結果「ミス仙台」のような明瞭簡潔なイメージが消え、だらだらした重たいことばになり、記憶しにくい名前になったことです。
  日本人は一音でも少ないことばを好む音用上の習慣がありますが、そういうことをまったく考慮に入れなかったことが大きな理由といえましょう。

2.「美人コンクール」 の入賞者を 「ミス」 と呼ぶのは全国で一般化されていますが、「ミス」 という音は鼻音と無声摩擦音でできていて爽やかでやさしいイメージの音を持っています。

  それを、華やぎ感がない、ゴツい感じの 「親善大使」 では、音の面でも字面の面でも 「ミス」 に比べて、イメージの落差があまりに大きいことは誰が見ても明らかです。


  昨年応募者が減ったのは、こうした配慮を欠いたことばに応募者が魅力を感じなかったからだと考えてよいでしょう。

  表現したいことの多く言おうとすると、どうしても長い文隣、それだけ明白なイメージを持たないことばになるのです。
  ことばが伝えるインパクトは文字の数に反比例しますから、音の数を一音でも少なくすることがネーミングの秘訣といえるのです。

2005年03月24日(木)
「LACHIC」を分析する?

― ファッション・ビル「らしっく」 ―

  ブランドの指名買いやトレンドに振り回されることなく、自分らしいライフスタイルを楽しめる場所という、ユニークなビルが名古屋に誕生したようです。

  この語の音がそうした狙い(コンセプト)をどの程度捉えているか、音相分析を試みました。

  表情解析欄の上位に 「活性的、爽やか、現代的、進歩的、若さ」 などが並んで華やいだ現代感覚を捉えたあと、「健康感、庶民性、個性的、合理性」 など 『らしさ』 の表現が続き、ユニークなビルのイメージが表現されているのがわかります。

  また、コンセプトバリュー欄では男女とも若者に人気のある語であることを伝えています。

2005年03月24日(木)
[ 寄 稿 ]

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  『ネーミングの極意』 に感動
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  初めてメールさせて頂きます。

  私は日本文化系の学科に通う大学一年生で、進学するかどうかも決まらない時期から、日本語の「聞いたときの印象」に大変興味がありました。しかし、それをズバリ扱う本は殆ど無く、見つけたとしても難解な学術書で、それを読みこなせるほどの力も知識もありません。
  自分なりに五十音表などを作って研究はしてみましたが、さすがに客観的な説明も出来ずに悶々としている折、書店で 「ネーミングの極意」 を見つけ、心から感動するとともにほっとしました。
  このような、形も無く説明するにもなかなか難しいことを、非常にきちんと研究なさっている方がいらっしゃることに、本当に感銘を受けました。
  今までは 「なんとなく」 で終わり、不思議に思うけれども自分で調べるのは難しかったことが、音相理論として出来上がってきている、そして、それを解り 易く紹介する本やサイトも存在している。凄いことだと思います。この時代に生まれて良かったなあと心から思っています。

  私は、拙いなが ら趣味で文章を書く人間です。たったひとつのフレーズの違いが、全く違う印象となって立ち現れてくる凄さと怖さを、今まで何回も体験しました。また、登場 人物の名前ひとつにしても同じことがありますし、プロの作家の方の作品でも、「イメージどおりの名前だなあ」 と作品に没入することもあれば、「どうして こんな名前なのだろう」 と馴染めないときもあります。
  その不思議な現象を解く鍵が具体的に説明された 「ネーミングの極意」 と音相システム研究所さんのサイト、どちらも興味深く拝読させて頂いております。もしも叶うなら、私は大学で日本語の印象についての研究をしていこうと考えています。

  また、「音」 と、それを聞いたときに喚起させられる 「色」 の関係にも興味があるのですが、友人に尋ねたところ、「そんなことはない、音は音だ」 と 云われてしまいました。音からの色のイメージはごく個人的な体験から喚起されてくるものなのか、音相とは関係がないのか、その不思議を友人に説明できるよ うになるためにも、音相について興味を持ち続けていきたいと思います。

  夢と感動をありがとうございました。これからも、サイトの更新や新刊の発行など楽しみにさせて頂きます。
  長々と失礼致しました。 (芙美)
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『心強いお便り有難うございました。
  頂戴したメールは所員全員で拝読いたしました。音相研も力強い友を
  得た思いです。今後とも 気楽にご投稿などいただき、日本語の深遠の
  世界を、共に学んで行きたいと思っております。
  どうぞよろしくお願い致します。
                    音相システム研究所 研究員 日紫喜友紀 』

2005年03月14日(月)
「アイ」と「アイちゃん」−音相くらべ−

 卓球の福原愛ちゃんとゴルフの宮里藍ちゃん… 今・スポーツ界は 「アイちゃん」 ブームでわいています。
  彼女たちは 「アイ」 または 「アイちゃん」 と呼ばれていますが、「アイ」 と 「アイちゃん」 から伝わるイメージにはどんな違いがあるのか、音相分析で捉えてみました。
(あなたも体験版でお試しください。)

  名前の音を分析すると、どちらにも 「庶民的でシンプルな中に動的、個性的で活力感」 という表情語が高点にあり、スポーツウーマンにピタリの雰囲気をもった名前であることがわかります。
  またそれに加えて 、「アイ」 には 「鋭さや合理性」 が、「アイちゃん」 には 「若さ、派手さ、健康感」 が強調されていて、微妙なイメージの違いも見られます。
  また 「アイ」 には 「人肌の温もり感」 や 「ふっくらした感じ」(情緒欄) があるのに対し、「アイちゃん」 には男女を問わず若者に可愛がられる名であることを示しています。
(コンセプトバリュー欄)

2005年03月14日(月)
名器「ストラディバリウス」を分析する

 世界に600台しかないというヴァイオリンやビオラの名器 「ストラディバリウス」 (専門家や通の人はストラットという)は、1台数億円のものもあるといわれ「人類の財産」ともいわれています。
  この名器の名前の音相を分析してみたら、ため息の出るような表情をもつ見事なネーミングであることがわかりました。
(体験版でお試しください)

  表情語欄では 「高級感、充実感」 「高尚、優雅」 「安定感、信頼感」 「爽やか、清らか」が高点で並び、情緒解析欄では「神秘的、夢幻的、不思議な感 じ、孤高感」が、またコンセプトバリュー欄では 「中高年指向で、流動感、重厚感」 など荘厳で高雅な余韻を作る、人類の宝にふさわしい音を持った語であ ることがわかります。

  「ストラディバリウス」 はアントニオ・ストラディバリ (1644年イタリー生まれ) の制作によるものです。

2005年03月14日(月)
生き残る語と消えてゆく語

 散りゆく桜の花びらを見て、外国人も日本人と同よう美しいと感じるでしょうが、日本人が暮らしの中で身につけてきた 「散り行く花」 への風情や哀感とは幾らか違うものではないかと思います。 このことは、ことばの音についても言えるのです。

  日本人は誰もが 「チ」 や 「ピ」 を明るく強い音に感じ、 「グ」 や 「ジョ」 を暗い音と聞く感性をもっていますし 、「迷う」 と 「さ迷 う」、 「切り離す」 と 「カットする」、 「さぐる」 と 「まさぐる」 など、語音が伝えるイメージの微妙な違いを正しく聞きわけながら互いの心を 伝えあっていますが、そういうことができるのは日本語で育った人たちだけが持つ感性の力といってよいでしょう。
  それは、 「やまとことば」 の昔から使われてきた日常の話しことばや詩歌や逸話などから育てられたものですが、今使われている流行語やネーミングなども、それと同じ音相感覚の上でできているのです。

  新語や流行語は今後も増えてゆくでしょうが、日本人に好まれない音を持つ語はやがては他の語に言い換えられたり、より良い語が出現したらあっさり捨てられるなどして長続きしないのです。
  それは日本人の誰もが先祖伝来、心の奥にもっている遺伝子の働きによるものです。

2005年03月14日(月)
「アイ」 と 「アイちゃん」 音相くらべ

 卓球の福原愛ちゃんとゴルフの宮里藍ちゃん…今・スポーツ界は 「アイちゃん」 ブームでわいています。
  彼女たちは 「アイ」 または 「アイちゃん」 と呼ばれていますが、 「アイ」 と 「アイちゃん」 から伝わるイメージにはどんな違いがあるのか、音相分析で捉えてみました。
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  名前の音を分析すると、どちらにも 「庶民的でシンプルな中に動的、個性的で活力感」 という表情語が高点にあり、スポーツウーマンにピタリの雰囲気をもった名前であることがわかります。
  またそれに加えて 、「アイ」 には 「鋭さや合理性」 が、「アイちゃん」 には 「若さ、派手さ、健康感」 が強調されていて、微妙なイメージの違いも見られます。
  また 「アイ」 には 「人肌の温もり感」 や 「ふっくらした感じ」 (情緒欄) があるのに対し、「アイちゃん」 には男女を問わず若者に可愛がられる名であることを示しています。(コンセプトバリュー欄)

2005年03月14日(月)
名器「ストラディバリウス」を分析する

 世界に600台しかないというヴァイオリンやビオラの名器 「ストラディバリウス」 (専門家や通の人はストラットという)は、1台数億円のものもあるといわれ「人類の財産」ともいわれています。
  この名器の名前の音相を分析してみたら、ため息の出るような表情をもつ見事なネーミングであることがわかりました。
(体験版でお試しください)

  表情語欄では 「高級感、充実感」 「高尚、優雅」 「安定感、信頼感」 「爽やか、清らか」が高点で並び、情緒解析欄では「神秘的、夢幻的、不思議な感 じ、孤高感」が、またコンセプトバリュー欄では 「中高年指向で、流動感、重厚感」 など荘厳で高雅な余韻を作る、人類の宝にふさわしい音を持った語であ ることがわかります。


  「ストラディバリウス」 はアントニオ・ストラディバリ (1644年イタリー生まれ) の制作によるものです。

2005年03月06日(日)
流行語を斬る 「セレブ」

 今、「セレブ」ということばがはやっています。
  この語はcelebrity (著名人や有名人) の略で、 「名士、有名人、知的で優雅な女性」 のような意味で使われているようです。
  現代人が、そのようなエリート風の人たちをどんなイメージで見ているのか、それを知りたくなってこの語の音相を分析してみました。
  ポッと出てくる流行語には、その時々の人たちのことば感覚が表現されている語が多いからです。

  分析表を見てみると、 「派手、シンプル、庶民的、軽快感、活性感」 などが高点にあり、 「派手さやシンプルな軽快感」 といった今風のカッコよさを作る表情語が中心になっていて、一と時代前、この種のことばにかならず出た 「優雅さ、高尚さ」 はやっと9番目に低ポイントで出てきたにすぎません。

  「セレブ」 は、現代人のこのようなことば感覚の変わりぶりを、見事に表現していることばであることがわかるのです。
  またこの分析表から、音相分析がことばがもつ内面の機微をいかに正確にとらえているかも見落とすことのできないポイントといってよいでしょう。

2005年03月06日(日)
音楽プレーヤー「アイポッド」の魅力

 「1万曲から簡単に選曲ができ、目方も軽い
   デジタル・ミュージック・プレーヤー …… 「アイポッド(iPod)」。」
  こんなコンセプトを聞いたとき、 「アイポッド」 という商品名が、それをどこまで表現しているかが気になって音相分析をしてみました。
  あなたも体験版でお試しください。

  表情語の高点部分を見てみると、「動的、活性的、強さ、鋭さ、高級感、個性的、合理的、シンプル感」などが並んでいて、この商品が表現したい主なコンセプトを見事に捉えた語であることがわかります。

  また、表情の方向性が反対の「活性的と非活性的」「高級感と現実感」などが、近いポイント数で対立しているため、商品の奥行き感が表現されています。このような奥行きのある語は、体験版で見られるように、最高ポイント数が低くなるのが特徴です。

2005年03月06日(日)
市町村名、決め方のコツ

― コンセプトの数が多いとイメージは弱くなる

  今年は全国で、市町村合併が数多く行われる年のようです。
  市町村合併には、先祖伝来使われてきた名前の消滅などを廻って大きな争いになることも少なくないようです。
  新しい地名は利害相反する関係者たちの妥協の中から生まれる極めて特殊なネーミングといえましょうが、伝統や美しい日本語を壊わさない配慮が十分行われることを願ってやみません。

  地名について考えるとき、盛り込みたいコンセプトがいくらも浮かんできます。
  そこにはいろいろな人の異なる見識や見解があるでしょうし、 「静かな町」 と 「活性感あふれる賑やかな町」 という相反する概念を同時に盛りこまねばならない場合もあるでしょう。
  しかしながら、それらをすべて盛り込んだらどんなことになるでしょうか。 「静か」 と 「賑やか」 を合わせたらプラスとマイナスで表(おもて) に出 る表情はゼロまたは、プラスとマイナスの差の分しか出ないためポイント数が低くなり、表情のはっきり見えない、イメージが曖昧なことばになってしまいま す。

  東京、大阪、京都などの都市名は、いずれも最高位にある表情語のポイント数が低く、明白なイメージが捉えにくい名前になっているのもそういう理由によるものです。
  先日発足した名古屋の 「セントレア」 空港もその例です。
  この語の場合、表情語としては 「軽快感」 がただ1つ、低いポイント数で出ているだけで、あとは全部ゼロ・ポイント。 「あらゆる表情をふくんだ複雑なことば」 という以外にコメントできないことばになっています。 

  市町村名を作るコツ・・・。それは一般のネーミングと同様、たくさんのコンセプトの中のどこに焦点を絞るかが鍵となります。
  そしてその数は、せいぜい10項目未満でなければなりません。